with Nikon D800E
雄大な広角24mm、しかもF2の明るさを持ちながら、軽く、 そしてフィルターサイズも52mmとコンパクトなマニュアルニッコールレンズ、 Ai Nikkor 24mm F2S。 D800Eとの組み合わせでも、これまで好みだった透き通った空気感は健在で、 ちょっとした山行など、特に繊細な風景が欲しい時には、頻繁に持ち出しています。 同じ24mmでも、さすがは単焦点と言うべきか、 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDが映し出す風景とはまた違った味があり、 自然風景において、歪曲も少なく感じることから、 AF-S NIKKOR 24-70mm F2.8G EDを持ち出す時でも、敢えてこのレンズを携行するほどです。 開放絞り付近では、周辺画質がかなり悪くなる(ぼやける)ため、 このあたりの絞りはあまり使いませんが、 無限遠の風景ではF8やF11で使うことが多いので、 私にとっては、軽さなど、利点の方が勝っています。
D700と比べ、D800Eとの組み合わせでは、以前より寒色系に寄り、 100%に拡大した際の解像感が、少し落ちているような気もしましたが、 撮影素子との相性なのか、レンズの経年劣化か、原因はよく分かりません。 しかし、色合はホワイトバランスで調整できますし、 前述の通り、空気感までが失われるわけではないので、まだまだ現役。重宝しています。
デジタル撮影において、まともに太陽を構図に入れる完全逆光の写真は、 センサーの寿命を縮める、という点で、おそらく、 あまり推奨されることではないのではないかと思います。 しかし、私にとって、傾き始めた午後の太陽は、秋の切ない感情を映し出すための、 欠かせないアイテムの1つ。 視野の広い24mmレンズは、広大な山岳風景の感じたままを、 1枚の画角に封じ込めてくれます。
完全逆光の状態でシャッターを切ると、通常は、 太陽周辺が耐えられないレベルに白飛びするか、逆に、辺りがシルエットになってしまいます。 しかし、ハーフNDフィルターやグラデーションフィルターを利用すると、 何とか現像で復活できる程度にまで、輝度差が抑えられる可能性が出てきます。 少し、色合に犠牲があったり、派手なゴーストの出現率が上がりますが、 こういった構図でのゴーストは、むしろ写真らしい味があって好きですし、 なにより、「見た目通り」を入手できることのメリットは、極めて大きいものがあります。
今回の現像処理は、ゴミ取りのほか、ホワイトバランスの変更、 周辺減光の回復、シャドウやハイライトの調整を行っています。 眼を細め、暮れゆく季節に想いを馳せる、秋のひととき。 写真を眺めていると、実際にその場に居合わせた時と同じように、 思わず太陽に手をかざしてみたくなるのは、D800Eが映し出してくれる絵に、 かなりのリアリティがある証拠なのかもしれません。
↓ サンプルはクリックで拡大します。(原寸:1200×801ピクセル)
▲ 24mm, 1/200sec, f/8.0, WB:現像時変更, ISO_160,グラデーションフィルター使用
◆ この組み合わせで撮影したその他の写真(風景Clipへのリンク)