凍てつく風が頬を割く、山頂の夕暮れ。 今回は、日没直前の冬の山中から、ご案内いたします。
この写真は、静岡県静岡市清水区、浜石岳の山頂から、 夕景の南アルプスを遠望したものです。 浜石岳は、標高707m。特段有名な山、というわけではありませんが、 山頂直下まで車道が通じており、 車を使用すれば、それほど苦労せずに山頂の絶景を楽しむことができます。 また、車がすぐ近くにあれば、夕暮れになっても、あまり心配がないことも メリットの1つと言えそうです。 とはいえ、ヘッドランプ等それなりの装備は必要ですし、 山中の夜は、街の光に慣れた目にはあまりにも暗く、 季節によっては色々な動物が現れるかもしれませんので、 もちろん、街中と同じようにはいかないのですが。
そんな浜石岳ですが、公共交通機関を使用して下から歩く場合、最寄り駅は、 JR東海道本線の由比駅。併せてバスを利用する必要はなく、 駅から直接、取り付くことができます。 車であれば、東名高速道路の清水ICからのアプローチが便利そうです。 ちなみに、東名高速道路を上り方面に走っていると、トンネルを出たところで 海沿いに一気に視界が開け、真正面に富士山が見えるポイントがありますが、 そこが由比です(由比PAがあります)。 海のすぐ傍まで山肌が迫り、東名高速のルートが外海に接する珍しい場所ですが、 まさに、この山を登っていったところが浜石岳。 つまり、山頂からは、もっと素敵な富士山を一望することができます。 そして、富士山だけでなく、眼下に広がる駿河湾や、 さらに、今回の写真でご紹介した南アルプス方面なども望むことができます。
山頂北側に遙かに望む、南アルプスの峰々。 日本第2位の高峰、北岳を筆頭とした白峰三山から、 深南部の特徴的な双耳峰、池口岳などまで、堂々たる山並みが連なっています。 訪れたこの日は、厳冬期、1月の午後。 先客はいらっしゃいましたが、日が暮れるにつれて姿が見えなくなり、 いつしか、大展望を独り占めに。 茜色へ、そして、さらに闇へと移ろう壮大な風景の中、 まるで、自分の存在が、冬空に溶けてしまったようにも思えました。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。