湿っぽい風がセンチメンタルを誘う、波打ち際の夏。 今回は、南向きの宵空を見上げながら、ご案内いたします。
この写真は、神奈川県小田原市、相模湾を望む海岸から、夏の星空を撮影したものです。 東京から名古屋、大阪方面へと続く鉄路、東海道本線。 東京、新橋、品川、川崎、横浜と続く東海道本線を、地図上で辿っていくと、 茅ヶ崎、平塚と進むにつれて海岸線に近づいていき、 小田原までの間では、国府津駅周辺が、最も海に近いポイントのように思えました。 そんな地図を眺めつつ、夕暮れ時の電車を、思い切って途中下車。 海を目指して、海岸線へ向かいました。
国道1号線を渡り、海岸線に沿って伸びる西湘バイパスの高架下をくぐると、 東西に長く延びる波打ち際に辿り着きます。 相模湾に向かって南に開けた海岸線からは、バイパスの向こう側に広がる小田原市街の街明かりや、 東側に延びる伊豆半島などを、望むことができました。
海岸線を東側にどんどん進めば、大磯や湘南といったエリアとなりますが、 このあたりの海岸は海水浴場にはなっていないようで、 訪れたこの日、日没を迎えた波打ち際には、ほとんど人影はありません。 前を見上げると、茜色から紫紺へと変わっていく宵空のグラデーションの中で、 南の空には、最近あまり見覚えのない蠍座が、瞬いています。 人の気配のない、静けさが支配する海岸。 幾重にも繰り返す、とめどない潮騒に耳を傾けながら、夏という季節を想いました。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。