夏の終わりと、秋の訪れを静かに告げる、山緑のうつろい。 今回は、山奥にひっそり、清水を湛える池のほとりから、ご案内いたします。
この写真は、長野県長野市、戸隠高原の一角にある鏡池で、対岸の風景を撮影したものです。 戸隠高原は、200名山の戸隠山と、同じく200名山の飯縄山の間に位置し、 標高は1100~1300mほど。 冬のスキー場なども有名ですが、一番の観光地は、やはり、 パワースポットとしても名高い戸隠神社ではないでしょうか。 長野市方面から、戸隠バードラインを路線バスで上がっていくと、 乗車すること1時間以上、宝光社宮前、中社と続き、奥社バス停に到着します。 バス停から、奥社へとまっすぐに伸びる道をゆくと、木立の中に随神門が現れ、 そしてその先に、何とも厳かな、杉の巨木が居並ぶ大並木が広がっています。 まさに、神域に踏み込むといった風情で、ここならではの光景ではないでしょうか。
さて、その随神門から、森の中へと伸びる遊歩道を、南南西へ向かいます。 標高差はほとんどなく、時に木道が整備された山道を、てくてくと快調に進むと、 数十分で木立が開け、小さな池が現れました。 ここが鏡池で、池の南側に立てば、岩稜鋭い戸隠連山が、 鏡のように映る風景を目にすることができます。 なお、自家用車であれば、この鏡池まで直接乗り入れることができ、 アクセスはとても良好です。
訪れたこの日も、徒歩で訪れていたのは少数派で、訪問者の多くは、 車で訪問されていたようでしたが、 それでも、戸隠神社付近の大混雑に比べれば至って静かで、 雰囲気が壊れるほどではありません。 天気は、残念ながら曇り空で、美しい「鏡景」は見ることができませんでしたが、 水辺に現れた大蛇に驚きつつも、 心地よい山の気配に揺られながら、去りゆく夏に、想いを馳せることができました。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。