遠くの山の頂よりも、遙かに遙かに高い、夏の青空。 湧き上がる大入道とともに、どこからか、遠雷が響く…。 今回は、夏風景を見渡す山頂から、ご案内いたします。
この写真は、山梨県北杜市、奥秩父山塊の一角にある「袴腰」1755m峰の山頂から、 南八ヶ岳方面を撮影したものです。 百名山である金峰山から、地図上で八幡尾根を辿り下っていくと、八幡山、 チョキを経て木賊峠に至りますが、その木賊峠のすぐ近くに、「袴腰」ピークがあります。 ほとんど無名なピークではないかと思いますが、その頂きに立てば、 金峰山や瑞牆山、八ヶ岳方面など、さらに甲府盆地方面と、 天候にもよりますが、素晴らしい展望に出会うことができます。 そして、何より素晴らしいのは、この景色が、駐車可能スペースから、 わずか20分程度も歩けば手に入る景色だということ。 にもかかわらず、人工的な展望台ではないこともあり、まさに、 重厚な登山をして深山の山頂に立ったような開放感を、味わうことができます。
車でのアプローチは、先に挙げた木賊峠を目指していくと、 分かりやすいかもしれません。 木賊峠に通じる道はいくつかありますが、例えば、 「クリスタルライン」と名付けられた林道を進むルートがあります。 地図によれば、このクリスタルラインは、 乙女高原方面から清里方面まで、結構長い距離が整備されているようでした。
訪れたこの日、袴腰周辺はよく晴れていましたが、 高い峰々には、あちこちで入道雲が産まれ、 それらがぐんぐん、上空へと成長していました。 写真で見える、八ヶ岳方面の入道雲は、成長しきって頭打ちとなり、 かなとこ状になっています。 他に誰もいない、静かな山頂。どこまでも続く夏の大気に溶け込んで、 自分もまた、夏空の住人になったような気がしました。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。