山中で迎えた、旅先の夜。 冷たい冬夜に凍えながら、ふと空を見上げたら…。 今回は、満点に煌めく天の河の下から、星空風景をご案内いたします。
この写真は、大分県別府市と由布市の県境付近、由布岳を眼前に望む夜の草原から、快晴の星空を撮影したものです。 今や全国的にも有名な湯布院から、県道11号線を別府方面へ進み、直線距離で3~4kmほど。 由布岳への登山口付近には、開けた草原が広がり、由布岳本体(1583m)や、その一角にある寄生的な小ピーク、 飯盛ヶ城(1067m)を見上げることができます。
すっかり日も暮れた快晴の空は、文字通り、満天の星空。 天頂近くには、仄かに輝く天の川のアーチが架かり、首の痛みを堪えつつ上を見続けていると、 チカチカ・ユラユラと瞬く星が、こちらめがけて降ってくるような、そんな錯覚にとらわれるほど。 こんな美しい夜空を、晴れていれば毎日のように眺められる地元の皆さんが、とても羨ましく思われました。
由布岳のシルエットの向こうに広がるのは、主に北側の星空。 詳しい方が見れば、すぐに分かるのでしょうけれど、ここまで星の数が多いと、 星座を形作る星がどれなのかも、よく分かりません。 この写真を撮影した時刻は、おおよそ20:30頃。 どのくらいの気温なのか、息を吐くたびに真っ白になった空気が、静かに、闇に溶けていきます。 訪れたこの日、直ぐ側を走る県道には、時折車が走り去る音が響いていましたが、 人の気配は、基本的にはありません。 雄大な夜空を、独り占めできる喜びをかみしめつつ、そして、体中に忍び寄る寒さと戦いつつ、 1枚、もう1枚と、星々に向き合い続けました。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。