宵の口、明星瞬く紫紺の夕空グラデーション。 今回は、遙かな夜景を見通す初冬の山上から、ご案内いたします。
この写真は、栃木県佐野市、唐沢山中の展望台から、富士山方面を撮影したものです。 東武佐野線、田沼駅から、直線距離で2~3kmの距離にある唐沢山は、 かつて唐沢城があった城跡の山で、本丸部分の標高は241m。 周辺部分は、唐沢山自然公園として遊歩道などが整備されています。 山上までは県道115号線が通じており、自動車でも登ることができるため、 駐車場から展望台まで少し歩けば、比較的手軽に、 眼下に広がる関東平野などを楽しむことができます。
しかし、日中は手軽であっても、夕闇や夜となると、この「少し」が非常に重い状況となります。 撮影に臨んだ展望台は、駐車場から、山道を500mほど歩いたところにあったのですが、 すぐ下には、家々の明かりが間近に見えているにもかかわらず、 すっかり夜闇となった帰り道では、野生動物やフクロウ?の声などに、かなりビクビクさせられました。 ヘッドランプなど一定の装備は用意していても、安易に夜の山道に踏み込むことは、やはりお勧めできません。 また、駐車場から駅までの舗装道路も、極めて心細い状況になること請け合いなので、 冬季の夜間に、徒歩で訪れることはお勧めできません。。
さて、一方で、期待していた冬の夜景は素晴らしく、地図に戻って確認すると、 地元の佐野市や足利市のほか、熊谷から高崎にかけての関東平野北部、 また今回の写真には写っていませんが東京都心方面も望むことができ、 さらに、百数十kmは離れた富士山も、くっきりとしたシルエットを見せてくれていました。 訪れたこの日は、ある12月の夕闇。 日のあるうちは、わずかにハイカーの姿も見られましたが、夕暮れとともに人の気配がしなくなり、 美しく広がる、けれど届かない街明かりを前に、底知れぬ冷えと孤独感が、足下から上ってくるようでした。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。