春から初夏へ。眩しい陽差しに、耳元に心地よい、海のさざめき。 今回の風景クリップでは、澄んだ海色が印象的な、 晩春の海風景をご案内いたします。
この写真は、静岡県賀茂郡南伊豆町、南伊豆歩道の一角から、 西方に広がる駿河湾方面を撮影したものです。 東西に長い静岡県のうち、東側に位置する伊豆半島。 半島の西側、いわゆる西伊豆は、主要駅からバスで1時間以上要する場所も多く、 その分、比較的静かに、海の風情を味わうことができるイメージがあります。 西伊豆~南伊豆には、海岸線沿いに国道136号線が走っていますが、 このあたりは、主に岩礁が続く海岸線で、必ずしも、常に、海に直接面しているわけではありません。 そんな中で、ところどころ、本当の海岸線巡りができる遊歩道(山道)が整備されている箇所があり、 今回ご案内する南伊豆歩道も、その1つです。
地図によれば、南伊豆歩道は、国道136号線沿いにある妻良集落から、 二十六夜山の山麓を回る形で吉田集落に至り、その後、三ツ石岬の手前を巻いて入間へ、 さらに海岸線沿いに中木集落へと至っています。 今回歩いたのはその一部でしたが、手持ちの地図が古すぎたこともあってか、事前に調べた情報とは、 状況が大きく変わっていました。 ジャングルとまではいかないまでも、例えば奥多摩等とはかなり違う、 南国を思わせる植生の森を進む山道。 一定の指導標は整備されていましたが、踏み跡はかなり薄く、 大きな倒木が完全に道を塞いで、通過に苦労した箇所もありました。 海岸線沿いに崖が迫る地形ということもあり、意外にも岩気味で、 かなり道が悪いところもありました。 さらに、道の真ん中でマムシが行く手を阻み、スズメバチにも遭遇。 体感気温は予想以上に暑く、あまり、この季節には相応しくないコースなのかもしれません。 訪れたこの日は、途中で他のハイカーと会うこともなく、静かな山旅になりました。
暗い森を抜け、ようやく、海風景が広がった時の、開放感と安心感。 青空の下、波は、いつまでも、どこまでも、穏やかに打ち寄せていました。
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