闇の帳が迫る、海際の工業地帯。 儚くも美しい、たくさんの灯りたちが、少しずつ、 鈍色のキャンバスに浮かび始めます。 今回は、2月の人工的な風景を選び、クリップしてみました。
この写真は、神奈川県横浜市磯子区、臨海工場地域の一角から、 対岸の石油化学コンビナートを撮影したものです。 京浜工業地帯は、文字通り、東京から横浜にかけて長く広がる、一大工業地域。 石油化学コンビナートの他にも、 コンテナターミナルや巨大倉庫、製鉄所、発電所など、 様々な種類の施設が並んでいます。 普段見慣れない光景だけに、それぞれに圧倒感がありますが、 中でも、石油化学コンビナートに林立する、無数の蛍光灯が煌めく塔の数々は、 何とも言えない美しさがあるように思えます。
駅前の賑わいや、住宅街の街並みといった日常的な風景から、歩くこと数十分。 360度が工業地域に囲まれる頃、夕闇の帳が、迫り始めました。 気がつけば、月も、空高く輝いています。 訪れたこの日は、或る2月の夕刻。岸壁には、日のあるうちはまだ、 釣り人の皆さんや、ランニングを楽しむ皆さんの姿が見られましたが、 日が暮れると、その皆さんも帰宅されたようで、めっきり人影が減り、 どこか遠い異世界に独り、置き去りにされたような気分になりました。 遠くなのか近くなのか、どこかで、工場の何かの機材が軋み、 唸り声を上げて、風音とともに迫ってきます。 気配はするのに、人影はない。 足の運びが、自然と早くなります。
遠くに、ようやくコンビニの灯りが見えたときには、本当にホッとしました…。
この写真については、デスクトップ壁紙画像の提供は現時点でございません。
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