夏の終わり、夕暮れが連れてくる黄昏色が、心に映り、そして移ります。 今回は、小さな切なさを誘いそうな晩夏の色を選び、クリップしてみました。
この写真は、静岡県浜松市南区、中田島砂丘/米津の浜で、 風紋の造形と、その先に広がる海岸風景を撮影したものです。 静岡県西部、汽水湖である浜名湖の入り口から、 天竜川河口を越えて御前崎にかけての海岸線には、 遠州灘を望む広大な砂丘が広がっています。 千葉県の九十九里浜、鳥取県の鳥取砂丘と並んで、 日本三大砂丘の1つと言われているようですが、 この2者と比べると、あまり知名度は高くないように思われます。 鳥取砂丘の砂が、茶色の砂であるのに対し、この砂丘の砂は、主に灰色。 例えば、珊瑚の海が広がる南海の砂浜が星の砂で覆われているように、 同じ砂浜でも、その岩石の種類によって様々な表情を見せてくれるのは、興味深いところです。
さて、この東西に長い砂丘の中でも、海までの距離が長い場所の1つが、 中田島砂丘です。東名高速道路・浜松ICを降り、連絡道路を少し進んだ後、 国道1号線のバイパスを進み、途中で左に折れて進むと、中田島砂丘への入り口があります。 砂丘の入り口からは海は見えませんが、いくつか山を越えていくと、 太平洋から直接荒い波が打ち寄せる、海岸線が見えてきます。 思わず海に入りたい衝動がこみ上げてきますが、残念ながら、遊泳禁止のようでした。
訪れたこの日は、夏の終わりとはいっても、よく晴れた、猛暑日ばりの炎天下。 遮る物のない砂浜では、その陽差しは強烈の一言で、 砂も猛烈に熱くなっており、裸足では歩けないほど。 それでも日が傾いてくると、風に晩夏の匂いが混じり、切ない潮風に涼しさを感じました。 中田島砂丘の核心部では、複数の観光客がいらっしゃいましたが、 少し離れると、時折人が通る程度の、心地よい静けさ。 風音や波音を、ゆっくりと楽しむことができました。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。