人里を望む、けれど届かない、風と光が支配する場所。 今回は、霧氷が彩る逆光の山岳風景を、冬の一風景としてクリップしてみました。
この写真は、大分県由布市と別府市の市境に当たる、由布岳東峰の山頂から、 西側、由布院盆地方面を撮影したものです。 日本200名山の1つである由布岳(標高1583m。西峰)は、 有名な温泉地である湯布院を見下ろす形で鎮座しており、 その双耳峰は、遠方からでも一際目を引く特徴的な形をしています。 単に霧氷を観察するだけなら、 ロープウェイが掛けられ、観光化されている隣の鶴見岳がお勧めですが、 その感動は、やはり自分の足で登った方が格段に大きいだろうことは いうまでもありません。
さて、由布岳へは一般に、 やまなみハイウェイの一角である南側の登山口から取りつきます。 広い草原を由布岳に向かって横切り、樹林の中をしばし巻き気味に登って合野越へ。 合野越からはジグザグとした道が続き、山腹の傾斜がキツくなってくる頃に 樹林帯を抜けると、眼下に壮大な景色が広がります。 このあたり山肌の傾斜はキツいですが、道はジグザグにはっきりと切られており、 歩きにくさは感じません。 しかし、双耳峰の鞍部である「マタエ」から先は、岩稜帯となります。 特に、西峰へはかなり傾斜の急な、かつ見るからに高度感のありそうな鎖場があり、 初心者向けではないと思われます(このときは辞退しました(笑))。 写真では、その西峰に続く道が、画面右やや後方に見えています。 訪れたこの日、このナイフリッジをゆく登山者を数パーティー目撃しましたが、 見ているだけでも恐ろしくなりそうな高度感で、私自身が岩場向きでないことを、 改めて実感した次第です(汗)。
そして、頂上へ。やはり、山頂からの景色は、達成感とともに、 途中とはまた一味も二味も違った景色に思えました。 歩程は、休み休み行って、通常なら片道2時間半ほどでしょうか。
由布岳は独立峰で、かつ山頂直下の傾斜が急なこともあって、 人里である由布院盆地が想像以上に近くに見えます。 しかし、霧氷が成長するほどに凍える山上の風には、 当然ながら人里のぬくもりなど全く感じられず、 冬の厳しさと淋しさが一際、その大きさを増したように思えました。
頂いたご感想などにつきまして、個別のフィードバックは基本的に行いませんが、 今後の製作の糧に、また今後の写真選択の参考にさせていただきたいと思います。